っちたんだまうわ


 シャウラはそれを避けながら広場の真ん中へと入って行った。そこにはもっとたくさんの男たちが集まっていて賑やかに何かを話している。やがて1人の男が高らかにホルンを吹き鳴らした。男どもは静かになって、そちらの方に注目する。ホルンの男の隣に立っていたがっちりとした男が1台の輸送車の後ろに立った。ガチャリと大きな音を立てて大きな鍵を外し扉を開ける。そして中へ入ると中から1人の人を連れ出した。手足は鎖に繋がれている。
「奴隷だ」シャウラは口の中で呟いた。
 男が口上を述べ、周りの男たちが次々と指を立て声をかけ始めた。奴隷商人たちの競りが始まったようだ。
「兄さんも買い物かね?」横に居たちょび髭の男が声をかけてきた。
「いや」シャウラは言葉を濁した。
「安心しな。この町は大丈夫だ。ここじゃ法律なんざぁ、有って無いようなもんだからな」
「そうですか。でも奴隷ってどこから連れてくるんですか?」シャウラは素直な疑問を口にした。
「そんなことも知らねえのか?戦でぶんどった神族どもにきまってるじゃねえか。それと後はギルティだな」
 実際、シャウラは奴隷を見るのは初めてだった。
「ギルティが居るんですか?」シャウラの声は大きくなった。
「お前さん、バイヤーじゃねぇだろ。旅の途中、慰みもんでも探している用心棒って感じだな」
「慰みもん?」
「気にするな。冗談だ」ちょび髭の男はニヤリと笑った。「ギルティは昔、俺達イノセントの間に入り込んだ事がある。そして“あいのこ”がたくさん生まれが、思ったよりギルティの資質が優性だったんだ。イノセントからギルティがたくさん生まれて困ったってぇわけだな」
「そんなことがあったんですか?」
「そうだ。お前さんの生まれた田舎では関係の無い話だろうが」ちょび髭の男はシャウラの格好を見ながら続けた。「それで慌ててギルティを排除したんだが、今でも時々イノセントからギルティが生まれてくる。そいつらもここへ売られてくるっていう訳だ」
「それで、生まれた時の“洗礼”を厳密に行うようになったのですか?」
「そういうことだ。分かってるじゃねぇか。俺達がギルティになけにはいかねぇからな。だが代を重ねても一度入ったギルティの資質はなかなか消えねぇ」ちょび髭の男はまたにやりと笑った。
 話している間にも次々と奴隷が曳きだされ売られていく。だいたい金の粒3個から5個が相場の様だ。やがて扉の前の男は1人の少女を曳き出した。
「次は神族の女だ。上物だ!12歳だが、大人だ」口上が述べられる。
「おお~」奴隷商人の間からざわめきが漏れる。

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